今回は、「給料を上げるには、どうすればよいか?」についての解説です。
給料が上がらないのには、大きく2つの要因があります。
1つ目の理由は、
●所属している会社自体の給与所得が低いから
これは残念ながら転職以外、状況を変えるのは難しいでしょう。
2つ目の理由は、
●あなた自身の貢献度が、会社に認識されていないから
つまり、あなたの仕事=あなたの市場価値が、会社から評価されていないということです。
これは自分の努力次第で、変えようがあります。
年収を上げたいなら「自分だけの武器」を持とう
「あなたの仕事=あなたの市場価値が、会社から評価されていない」とは、どういうことなのでしょうか。
それは、要するに「あなたの仕事がほかの誰にでもできる仕事で、希少価値=市場価値が低い」ということです。
これまで日本の会社は長く、年功序列で職務経験と年次によって給料が上がる仕組みでした。ところが今それが、大きく変わる転換期に差し掛かっています。
どう変わるのかというと、ほとんどすべての諸外国が取り入れている「仕事の成果によって給与が変わる仕組み=成果主義」への変化です。
この背景には、「生産性」というキーワードがあります。「日本は、先進国の中で生産性が最下位に近い」というニュースを聞いたことがあると思います。
事実、日本の時間当たり労働生産性は、49.5ドル。OECD加盟38カ国中23位。
日本の一人当たり労働生産性は、78,655ドル。OECD加盟38カ国中28位。
*参考 https://www.jpc-net.jp/research/list/comparison.html
日本人はみんな真面目に働いているのに、生産性が上がらない。それはなぜか?と考えたときに「仕事の成果で評価をしていないからではないか」という流れになっているのです。
この評価制度の変更は、過去にも何度も議論され、実際に取り組まれてもきましたが、日本ではなかなか受け入れられませんでした。
「仕事の評価の仕方を変える」ということは、これまでの制度との兼ね合いをどうとるか、給与テーブルをどう再構築するか、何を持って成果と捉えるか、などが絡む非常に難しい問題です。
しかし、少子高齢化に伴う労働人口の減少、働き方改革の推進、さらにはコロナ禍でビジネス環境変化が大きく加速したことで、この流れはもはや止められないと思います。
ですから、仮に一朝一夕に現在の給与が上がらないとしても、「市場価値の高いスキルを身に着けて、自分にしかない武器を身に着けておく」ことが、社内にとどまるにせよ、転職するにせよ、自分の身を守るために大切なのです。
「自分だけの武器」=資格を取る、だけが方法ではない
「自分だけの武器」と言われて、何を思い浮かべますか?
おそらく多くの方は、「資格を取る」ことだと考えるのではないでしょうか。もちろん簿記やネットワーク技術の認定資格など、「持っていることが武器になる」有益な資格もたくさんあります。
しかし、私の言う「自分だけの武器」とは、資格を取ることではありません。
普通の日々の仕事の中でも、「自分だけの武器」を磨くことはできるのです。
その前に、私が「資格」をそこまで重視しない理由をご説明します。
まず第一に、資格の有無だけで他の人から抜きんでる価値が持てるかというと、なかなか難しいこと。どんな資格にも上には上がありますし、「資格を持っている」だけで会社から生涯、大切にされる訳ではありません。
また、資格の多くは一生勉強し続け、アップデートしていく必要があります。時間もお金もかかり続けます。
それでいて、あなたが違う部署へ異動するとか、違う仕事に興味を持ち、転職してジョブチェンジしたいと考えたら・・・その資格は、果たしてどこまで武器として「有効」なのでしょう?今それを、決めることはできますか?
私はそれって、シンドイと思うんですよね。資格に縛られる生き方になってしまわないでしょうか。
日々の仕事の中で「自分だけの武器」を見つけて、磨く方法
では、普通の日々の仕事の中で、自分だけの武器を見つけて、それを磨くにはどうすればよいのでしょう?
昔話になりますが、私のケースをお話しします。
私は、新卒で商社に入社したタイミングが「バブル」がはじけた直後でした。前年までの好景気で私を含め大勢の新人が採用されましたが、突如として世の中が不景気になり、仕事量も激減。計らずも入社していきなり「人余り」な環境で、スタートすることになってしまいました。
最初の数年は、先輩から引き継がれる取引先はいわゆる「売れないけど手間がかかる小口のクライアント」ばかり。担当者数だけは誰よりも多いものの、売上はごく僅か。新規の獲得活動もうまくいかず、肩身の狭い思いをしました。若手とはいえ売上数字のない営業ほど、居心地の悪いものはありません。当然、会社からの評価も非常に低い社員でした。
そんな時、たまたま目の前に、新しい技術が登場しました。
先輩たちは皆、既存の仕事で手いっぱい。これからどうなるかもわからないその新技術に構っている暇はありません。私はたまたまその新技術が自分が好きな音楽に関係するものだったこともあって興味があり、自分から手を上げて勝手に勉強しました。
取引先に工場見学させてもらい、その技術を活かしてどのように商品が作られるのか、お客様から何をヒアリングすれば発注できるのか、発注の際はどのような書類が必要なのか…
そんな中、運よくその案件を受注しました。社内で初めて、その技術の案件を取ってきた人間になったのです。やがて、徐々にその技術が時流に乗り、先輩方のお客様からも相談を受けるようになりました。
そうすると、だんだん同じことばかり聞かれるのが面倒くさくなってきました。そこで私が学んだノウハウをまとめた「営業マニュアル」を勝手に作って、部内に配布しました。
こうして「この手の話ならコイツ」という社内での認知度がどんどんと上がり、普段話もしたことがない他部署の偉い人から営業同行を求められたり、全国の支社で勉強会をやってくれと呼ばれたり・・・
面白いもので、こないだまで何の取柄もない20代そこそこの若造が、気が付けばそのジャンルの第一人者、「社内で一番詳しい人」になっていました。
自慢話に聞こえるかもしれませんが、言いたいことは「自分だけの強みとは、その辺に転がっている」ということです。
それは、「社内で誰もやらないけど、誰かできる人や知っている人が社内にいると、助かることはないか?」を探してみる。そして見つけたら、徹底的に取り組んでみる。
そして「自分ができるようになる」だけじゃなく、「社内の他の人でもできるようになるために、どうしたよいか?」を考えて、形にして、社内に展開することなのです。
一つ、何かを極めて「エキスパート」になる
私は先ほどの成功体験があったので、その後も何か新しいことが出てくると、真っ先に手を上げて飛びつくクセがつきました。
転職した会社では、各担当者が毎回、同じ印刷の見積を問い合わせているのを目の当たりにして「みんなで同じことするのは双方にとってムダだよな」と考えて、「印刷の仕入れ価格の一覧表」を作って配ったり。何か自分の仕事で新しい仕様を手掛けたら、そのやり方をマニュアル化して、社内に配ったり。誰かに頼まれた訳でもなく、勝手にやり続けました。
そうしたことは、別に社外との取引や営業にまつわることじゃなくても、意外と社内にたくさんあるものです。
たとえば会議の「議事録」が誰よりも早く・うまく書ける、とか。面倒で他の人が手を出さないことですから、最初は下手クソでも怒られませんよね。むしろ感謝されます。でもそのうち、誰よりも数をこなすことで腕を磨き、「議事録のプロ」になる。
たとえば、パワポとかエクセルなら任せろとか、htmlのコーディングができるとか、映像が編集できるとか・・・趣味の延長でも構いません。そこそこじゃなくて「極め」て、「周囲に共有」しましょう。
この能力だけでも、絶対どこかで活きますし、こうした日常業務の中で磨いたスキルやノウハウは汎用性が高いので、資格と違い部署が変わっても、会社が変わっても有効なのです。
まとめ
いかがでしょうか。今回は給与を上げるための方法論として、「自分だけの強みを持つ」必要性を解説しました。
まずは仕事上で何か1つでも、「人には負けない」エキスパートになり、それを自分の武器にしてみる。そうした得意技があると、その他大勢の「いてもいなくてもいい人」から抜け出して、「いてもらわないと困る人」に変わることができます。
そして、こうした成功体験があると、それが習慣化していつしか、「自分だけの武器を複数持ち、それを掛け合わせる人」になれます。
いきなり給料は上がらないかもしれません。しかし、確実に社内での希少価値が高まると共に、世の中全体での市場価値も高まることで、どこへ行っても「人よりも稼げる」ようになれます。
●みんなと同じ仕事を、同じようにしていては、給料は上がらない
●日々の仕事の中で「誰かができたらいいな」「知っていたら助かるな」を見つけて、それを極めて周囲に共有し、「自分だけの武器」を持とう
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