今回は、コンサル流の問題解決スキルを解説します。
コンサルとは「課題解決人」
皆さんは、コンサルタントという仕事に、どんなイメージをお持ちですか?
「なんだか難しそうな仕事」
「大量の資料を作ってる」
「得体が知れない」
「稼いでそう」
そんな感じじゃないでしょうか(笑)。
コンサルタント、コンサルティングって、なかなかイメージが湧きづらい仕事だと思います。
私が思うコンサルとは、「課題解決屋」です。
コンサルは、お客様が自分たちだけでは解決できない課題に対し、お金をもらって解決しに行く。
「課題解決」こそが仕事だと思っています。
当然、社内で解決できないくらいですから、相談されることはどれも難問です。
「どうしたらいいのか、皆目見当がつきません」
「やることが山積みで、どこから手を付けたらいいかわかりません」
こういった「とにかく大変」な状態で相談をいただくことが、ほとんどです。
では、コンサルはどうやってこの難解な課題を解決していくのか・・・という話になるのですが。
記事のタイトルを見て「フレームワークの使い方の解説でしょ?」と予想された方も多いかもしれません。
しかし実際は、フレームワークを駆使する前に、行うべき大切な手順があるのです。
今日はそのお話をしていきます。
「分ける」ことで「分かる」
それは「分ける」こと、です。
「分ける」ことで「分かる」ようになるのです。
詳しくお話しましょう。
課題に直面した時、コンサルはまず真っ先に、「課題だ」とされていることを、ひたすら挙げていきます。
自分だけでできない場合は、お客さん企業の社員さんたちに集まってもらって、とにかく思いつくものを挙げてもらいます。
このときのコツは、「否定しない」こと。「さっき言ったよ」も禁句です。
とにかく自由に、「自分が課題だ」と思うことを挙げてもらう。
最近はオンラインが主流ですが、かつては会議室に集まって、付箋を用意して課題を書いてもらい、それをペタペタ、ホワイトボードに貼っていくやり方をしてました。
“これが出てきたということは、こんな問題もありませんか?”と「追加を促す」こともあります。
”営業の問題ばかり挙がってますけど、業務側ではどうなんでしょう?”なんて、「視点を変える」ように促すこともあります。
これをある程度続けると、ほぼ課題が出尽くした状態になります。
その後は、たくさんある課題を、カテゴリで分けていきます。
これは「業務フロー(手続き)」に関することですかね、これは「営業」に関することですね、これは「価格」に関することですよね・・・みたいな感じです。
そしてその中で、「似ているもの」や「ダブっているもの」をまとめていきます。
そして最後に、それらの課題を「すぐできる」「すぐできない」「重要」「重要じゃない」という形で分けていきます。
すると次第に「なんだかわからないけど大変」という状態から、おのずと「いまやるべきこと」と「いますぐはできないけど、将来やった方がいいこと」が分かってくるんです。
「分ける」ことで、次に起こすべきアクションが「分かる」のです。
もちろん課題を解決するためには「ここで決めたことを、確実に実行する」ことこそがもっとも重要ですが、その前に「課題をもれなくダブリなく洗い出し、分けること」こそが、真っ先に行うべきファーストアクションなのです。
ここでなぜ一人ではなくなるべく大人数で、そして「もれなくダブリなく」、視点を変えて絞り出すのか?というと・・・
課題点が正しく把握できないと、その後の解決策が間違ってしまう、不足するからです。
ちなみに。この「もれなくダブリなく」の手法が、「MECE」というフレームワークです。
MECEとは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字をとった略語。「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉で、要は「モレなく・ダブりなく」という意味です。経営学や経営コンサルティングなどの領域でよく使われます。
と、一応説明しましたが、私はフレームワークの名前とか、何の頭文字なのか?とか、その解説をいくら覚えても、現場で使えなければまったく意味がないと思っています。
それよりも「こういう局面ではこういうやり方が効果的だ」を知り、使えることが重要です。
フレームワークの名前なんて、「それって正式にはこう言うらしいよ」と「知っているとカッコいい」くらいの価値しかありません。
「何のために」を見失わないようにする
最後にもう一つ、「これはそもそも何のためにやっているのか」という「本質を見失わないようにする」ことも重要です。
先ほどの例だと、途中から何だか議論が盛り上がって、「課題挙げ合戦」みたいになるケースが少なくありません。
もちろん盛り上がった方が課題が挙がりやすいのでそれでいいのですが、頭の片隅で「そもそもこれは何のためにやっているのか=課題を解決するためだ」を忘れないことが、とても大切です。
そうしないと、たくさん挙げた課題の中でどれをやるか?という局面で、本質的じゃない解決策に手を出してしまい、根本的な課題が解決できないまま残る、といった事態につながりかねません。
課題を棚卸して、分ける
▼
分け終わったら、やれること・すぐできること・やって効果がありそうなことからやる
▼
常に本質を見極める姿勢を忘れない
「コンサル流」というと難しそうに聞こえますが、やっていることはこのようなシンプルな流れなのです。
どんな企業も、これまで経験したことがない課題が増えています。
つまり、上司や先輩にもわからないことが、社内に増えています。
だからこそ、年齢問わずこのような「課題解決思考のフォーマット」を頭の中に持っている人こそが、企業の中で重要なポジションを占めていくと私は思います。
<まとめ>
- 課題にぶつかったら、とにかく分ける
- 分けることで、やるべきことが分かる
- そもそも何がやりたいのか?の本質を見極める
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