今回は、「だろう運転」は危ない!仕事におけるクリティカルシンキングのススメについて、解説します。
仕事でも「だろう運転」は危ない
「だろう運転」、聞いたことありますか?自動車教習所で習うアレです。
「信号が青だから、歩行者は飛び出してこないだろう」とか「この交差点はいつも車が少ないから、今日も大丈夫だろう」と運転したら事故りますよ、という教えです。
反対語はわかりますか?そう、「かもしれない運転」です。
仕事で同じミスを繰り返す人は、この「だろう運転」の人です。
「前に言ってあるから、約束通り提出してくれるだろう」
「何度もお願いしてるから、忘れてないだろう」
こうした思い込みが、事故につながります。
そういう考えの人は「周囲の人は皆自分よりしっかりしているだろう、まさか忘れてるなんて思いもしませんでした」と言います。
人を信じることは素晴らしいことですが、仕事においてはお客さんだろうと先輩だろうと上司だろうと「あの人は忙しいから、覚えてないかもしれない」と”疑ってかかる”ことが大切です。
この「疑ってかかる」のが、クリティカルシンキングです。
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングとは、ふだん自分が無意識にとっている行動や考え方を意識化し、客観的かつ分析的に振り返るという意味です。
要するに自分のことを信用しない、ということ。そうした「思い込み」には意外と根拠がなかったり、過去はそうだったけれど今回はそうとは限らない、ということがたくさんあります。
仕事においては自分だけではなく、すべてのことに「疑ってかかる」用心深さが必要です。
「あの人はいつも時間に正確で、待ち合わせに遅れたことがない」けど「今日だけ」忘れているかもしれません。だったら、前もって「今日約束の日ですよ、14時に待ち合わせですよ」と一報を入れておけば、事故が防げます。
PMとよばれるプロジェクトマネジメントの経験がある人であれば、納得だと思います。チームのスタッフが起こしそうな事故を予見して先回りして注意させるには、このクリティカルシンキングがすごく役立ちます。
日本人特有の「遠慮」にも注意
もう一つ、日本人は「ハイコンテクスト」な思考が強いことも、意識しましょう。
俗にいう「暗黙の了解」「言わずもがな」とか「言ったら失礼にあたる」とかの遠慮です。
上司や先輩、お客様に催促したり、忘れてないですか?とか聞くのは失礼なんじゃないか、と遠慮する人が、日本人はすごく多い。
私なんか忘れっぽいので、事前にリマインド、確認をしてもらえるとすごくありがたい。言い方は気つける必要がありますが、事前に「明日14時からの打ち合わせ、宜しくお願いします」と一報を入れることに「失礼な、忘れてると思ってんのか!」と怒る人が、果たしてどれだけいるでしょうか?
このコラムで何度も繰り返しお話している通り、仕事はコミュニケーションでなりたっていて、仕事におけるトラブルの8割は、コミュニケーションのミスやロスが原因です。
日本人の多くのビジネスパーソンの仕事が早く終わらず、生産性が低いのは、こうした無意識の「思い込み」や、失礼がないようにと異常に恐縮しておとなしくしようとする「遠慮」が、原因じゃないかと私は思っています。
まとめ
仕事は一人ではできないので、周囲の同僚やお客さんとのやりとりが欠かせません。
そのとき「前に言ったから伝わっているハズだ」「何度もお願いしたから覚えていてくれるだろう」などの思い込みを捨てて、ヘンな遠慮をしないで「念のため、もう一度お伝えします」とやるだけで、仕事上のトラブルは大きく減ります。
そうするとスケジュール通りに仕事が進み、トラブル対応に余計な時間を取られることもなくなり、自分のペースで仕事が進められて、早く片付きます。
● 仕事は「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」でやる
● ふだんの自分の勝手な思い込みを疑う「クリティカルシンキング」を意識する
● 仕事においては過剰な遠慮は禁物、念のために事前に一報を入れることで事故が防げる!
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